「鷭バン

新字源(角川)「①もず。モズ科の小鳥。②鷭䳇ばんぶは、鳥の名。〈国〉ばん。ツル目クイナ科の水鳥」
新漢語林(大修館)「鷭䳇バンブは、鳥の名。〈国〉バン」
漢辞海(三省堂)「鷭鵡は、クイナ科の鳥。〈日本語用法〉①ばん。②もず」
漢字源(学研)「①鷭䳇バンボとは、鳥の名。ジュケイに似る。②ばん。鳥の名。クイナ科の水鳥。黒色で尾が短い」

[考察]
新字源は「もず」、新漢語林は「鳥の名」、漢辞海は「クイナ科の鳥」、漢字源は「ジュケイに似た鳥」とする。また「ばん」を漢字源以外は国訓とする。
鷭は字書にしかない奇字である。『玉篇』に「鷭、音煩」、『広韻』に「鷭鵃は鳥」、『竜龕手鑑』に「鷭鷒は鳥の名」、『類篇』に「鷭䳇は鳥の名。鷸(シギ)に似る」、『集韻』に「鷭䳇は鳥の名。鷊(ジュケイ)に似る」とある。ほかに用例がないのでどんな鳥かは不明。
日本では「ばん」という鳥を鷭で表す。バンはクイナ科の鳥である。水辺や水田に棲む。水田のほとりでクルルッと鳴くことや、人を恐れず逃げない様子が、水田を守って番をしているように見えるので、バンという名がついたといわれる。だから番に鳥偏をつけた和製漢字が生まれた。
日本の鷭は偶然にも中国のわずかな字書に出ていた。これは同形衝突である。したがって鷭は半国字の部類に入る。また現代中国でも日本の鷭を輸入してバンの意味で使っている。中国から見れば「里帰り漢字」である。

[正しい語釈]
鳥の名。実体は未詳。/「ばん」は国訓。